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デング熱の診断/検査と治療法|2回目感染時の重症化リスクに注意

デング熱の診断


デング熱の診断は、診察に基づいて臨床的に行われるのが一般的です。

診断のポイントは、発熱以外に、次の項目のうちの2つ以上が当てはまることです。

  • 吐き気、嘔吐
  • 発疹
  • 全身の痛み
  • 白血球の減少
  • ターニケット試験(血圧計カフを使用し、点状出血を数える方法)での陽性


この他、細胞培養によるウイルス分離、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による核酸の検出などの臨床検査によりデング熱を診断することも可能です。
また、2012年に導入されたPCR検査が、今後活用されていくとみられています。

デング熱の潜伏期間は長くて14日間であるため、デング熱が流行している地域、熱帯、亜熱帯に滞在して2週間以内に突発的な高熱が出た場合、医療機関で診断を受ける必要があります。

デング熱への2回目の感染が疑われる場合は、最初の感染時以上に重症化する恐れがあるため、特に注意が必要となります。
悪寒や全身痛に加え、点状出血の症状が表われ、完治するまでの期間が長期化する場合もあるからです。

デング熱の治療法


デング熱に特別な治療法はなく、水分を補給しながら自宅で安静に経過を見て、症状が重いようであれば入院して点滴などを受けることになります。
発熱を抑えるためにアセトアミノフェン(パラセタモール)を使用する場合もありますが、アスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド性の薬剤は、出血リスクを増加させる可能性があるため用いられません。
さらに、余分な水分を取り除くためのループ利尿剤が使用されることもあります。

デング熱は、感染症の分類では4類に分類されていることから、学校で出席停止扱いにはなりません(出席停止になるのは第3類まで)。
ただし、デングウイルスは熱が出ている間は体内に存在しており、蚊を媒介として周りに感染する可能性があるため、学校や仕事は休み、復帰するのは完全に熱が下がってからにしましょう。

デング熱の症状(潜伏期間/初期症状/発疹/重症化/後遺症etc.)

デング熱の潜伏期間


デングウイルスが原因で起こる感染症であるデング熱は、いわゆる熱帯病の一つとされてきました。

デングウイルスに感染すると、ウイルスはネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介され、3日〜14日間の潜伏期間を経てデング熱の症状が現れます。

デング熱の初期症状


デング熱の初期症状としては、突然の発熱、頭痛、筋肉痛・関節痛、嘔吐、下痢、はしかのような発疹などが挙げられます。
40℃以上の高熱が出ることもよくあります。
発疹が現れるのは、デング熱患者全体の50%〜80%程度になります。
毛細血管が破れることで、口や鼻から少量の出血があったり、点状出血がみられる場合もあります。初期症状は2日〜7日程度続き、高熱から回復した後に重症化する事例も少なくありません。

重症化した場合の症状は、消化器からの出血、胸腹水症、低血圧症、臓器障害などで、デング熱患者の約5%に「デングショック症候群」と呼ばれる循環性ショックや、「デング出血熱」と呼ばれる出血が起こります。
デングウイルスは、現在4つの型が確認されており、異なる型に続けて感染すると重症化や合併症のリスクが高くなります。
子どもは大人に比べて症状は軽いですが、重症化のリスクは大人より高めです。
また、性別では、女性のほうが男性よりも重症化しやすい傾向がみられます。

デング熱の後遺症


デング熱の回復期を迎えると、激しいかゆみや心拍の遅れ(徐脈)、斑丘疹などの症状が現れる場合があります。

水分過負荷状態になるため、てんかん、意識レベルの低下、脳浮腫などが起こるケースも確認されています。

デング熱は、発症から1週間ほどで熱が下がり回復に向かいますが、回復した後も、数週間疲労感が続きます。
しかし、後遺症が残ることはほとんどありません。

デング熱予防策の最新事情(予防接種の有無など)

デング熱の予防接種

現在、デング熱には、認可を受けているワクチンがありません。
世界初のデング熱ワクチンがフランスで臨床段階に入っており、2015年に実用化される予定ですが、現状におけるデング熱予防策は、蚊に刺されないよう注意して生活することのみと考えていいでしょう。


蚊に刺されないために

蚊に刺されないようにするためには、蚊が好んで生息する場所を減らすことも重要です。
例えば、蚊の産卵場所となる水の入った容器を置かない、エアコンの室外機や鉢植えなどもこまめに掃除し、場合によっては消毒薬なども使用するといった水回り対策に加え、蚊が生息していそうな草むらへの殺虫剤散布などの対策を地域ぐるみで講じることが必要となります。

また、皮膚を露出しない服装を心がける、蚊帳や虫除けスプレーを活用する、蚊取り線香や蚊取りマットを置くなど、個人での対策も励行するようにしましょう。

蚊はハッカ系の匂いを嫌がる性質を持っているため、ハッカ油を使ったスプレーを自作していつも携帯しておくという方法もあります。
ハッカ油スプレーは、精製水とハッカ油を混ぜるだけで簡単に作れます。

蚊は、二酸化炭素、匂い、体温に寄ってくるので、汗をかきやすい人、体温が高い人などは、特に蚊対策に力を入れたいものです。

海外では、蚊の幼虫であるボウフラを駆除する錠剤やボウフラを食べる魚類を、側溝や水溜りに投入している地域や自治体もあります。

東京都のデング熱対策

2014年9月9日には、東京都の舛添知事が蚊を媒介した感染症への対策会議を設置する考えを発表しており、今後ますます国と連携したデング熱対応策がまとめられる予定です。

今後もデング熱の感染拡大が続けば、こうしたのデング熱予防対策は、全国の自治体でも確実に実施されていくことでしょう。

デングウイルスの感染経路を知る(ヤブ蚊による感染拡大の現状)

デング熱の感染源

デング熱は、デングウィルスを媒介するやぶ蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカなど)に刺されると、蚊の唾液とともにウイルスが体内に入りこむことにより感染します。

デング熱患者が発生しているのは、東南アジアを中心とする熱帯・亜熱帯で、全世界で年間1億人が発症しているといわれています。
ネッタイシマカは日本国内には生息していませんが、ヒトスジシマカは「ヤブ蚊」とも呼ばれ、北海道と青森県を除く日本全国に分布しています。
 
日本では、第二次世界大戦中に約20万人がデング熱に感染しましたが、それ以降2014年の発生まで、海外を訪れていた日本人が帰国後に発症した例を除けば、戦後の国内感染例は確認されていませんでした。

デング熱の国内感染経路

今回の国内感染の経路は、海外からの入国者または帰国者がデングウィルスに感染し、自覚症状のないまま入国した後に蚊に刺され、その蚊が他の人間を刺すことによって広まったのではないかと考えられています。

蚊が生息するのは標高1000メートル以下の場所であり、特にネッタイシマカは人が生活している近くに住み着いています。
これらの蚊は、飛びながら吸血相手を探すのではなく、待ち伏せ型で、草むらなどに潜み、近づいてきた人間や動物を刺します。
ちなみに、蚊に刺される時間帯は、ほとんどが日中であるとされています。

デングウイルスに感染した人間や動物の血を吸った蚊は「感染蚊」となり、次の獲物へとウイルスを運びます。
ウイルスに感染しても、症状が現れるのは2割程度になります。
通常、人から人へ感染することはありませんが、輸血、血液製剤、臓器移植、母子感染などの例外はあります。
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